【書評】SF小説『2001年宇宙の旅』を読んでみて、感じたこと。

2023年8月13日日曜日

SF小説 アーサー・C・クラーク 伊藤典夫 文学

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  • タイトル:2001年宇宙の旅
  • 著者:アーサー・C・クラーク著/伊藤典夫訳
  • 出版社:早川書房
  • 出版年月:1977年5月
  • ISBN:4150102430
  • NDC:933

この書評ブログの記念すべき第1回に読んだのは、SF小説『2001年宇宙の旅』。
作者はSF界の”ビック・スリー”の1人、アーサー・C・クラークで、それを伊藤典夫が訳したものが本書である。

「2001年宇宙の旅」と言えば、スタンリー・キューブリックが監督を務めた同タイトルの映画の方が有名であるかもしれないが、その映画の脚本はキューブリックとクラークが共同で書いたものだ。

このように聞けば、映画を小説に焼き直したものだと捉えられる方もいるかもしれないが、映画は終始、謎を感じさせる作りに対して、小説の方では事象について色々と説明があるため、同じタイトルでもそれぞれの作品の雰囲気は大きく異なる。

映画がキューブリック版「2001年宇宙の旅」だとすれば、本書の小説はクラーク版「2001年宇宙の旅」であると言えよう。

あらすじ

本書のあらすじを、ネタバレにならない範囲で述べると次のようになる。

* * *

人類の祖先がまだアフリカに止まっていて、姿かたちも人間ではなくヒトザルだった大昔。
厳しさを増す自然環境に適用できずに滅びゆくヒトザル達はある時、謎の物体と出会う。
その謎の物体は石板のような直方体で、ヒトザル達に気付かれず彼ら彼女らに直接干渉し、ヒトザルの進化を促した。

それから何百万年と月日は流れ、ヒトザルから進化した人類は、月面に恒久的な基地の建設
を始めるほどに発展を遂げていた。

ある日、月の磁場を調査していたところ、明らかに不自然な磁場の乱れを発見する。
派遣された調査隊は、不自然に磁場が乱れる月面を掘り進めてみたところ、そこには石板のような直方体が埋まっていて・・・

書評(感想)

書籍としての情報とあらすじを書いたので、さっそく書評(というよりも感想と言うべきか?)を書きたい。

SF小説『2001年宇宙の旅』のメインテーマは?

本書のメインテーマは、「人類の進化」(あるいは「知的生命体の進化」)にあるとノリピーは感じた。
ただし、本書が描くものは何も”これまで”という考古学的、生物学的な話ではなく、人類の”これから”である。

物語の序盤、ヒトザルが謎の直方体と接触した結果として、人類という存在に行き付いた。

ヒトザルの頃と比べれば、人類の技術レベルは圧倒的だ。
作中の世界において人類は、現実の私達(ノリピーやこのブログを読んでいるあなた)が飛行機に乗るような感覚で地球の重力から離れることができ、さらには月に恒久的な基地の建設を進めつつある。

では、人類が再び謎の直方体と出会った時、次に訪れる結果はどのようなものだろうか?

謎の直方体と出会ったヒトザルは知恵を身に付け、道具を使うようになり、生存競争を有利に戦えるようになったが、その結果として歯の小型化や体毛を失う変化があった。

人類がさらなる進化を遂げた場合、人類は何を得て、何を失っていくのだろうか?

そのような問いに対しての、SF作家クラークの答えが本書なのだと思う。

意外と重要ポジション、「HAL9000型コンピューター」

本書を始めて読んだのは小学生の時だったと思う。
今回、だいぶ月日を空けてから再び読んでみて気付いたのは、「HAL9000型コンピューター」という存在の重要性だった。

先述したあらすじには書かなかったものの、物語の舞台は地球から月面、次に宇宙船ディスカバリー号へと移っていく。

ディスカバリー号はあることを調査するため、目的地である土星の衛星を目指して航行するのだが、ディスカバリー号には乗組員である人間を助けるため、HAL9000型コンピューター、要は人工知能が搭載されているのだ。

本書の登場人物は少なめであるが、物語の舞台がディスカバリー号に移ると、その人数の少なさはさらに程度が増す。

何しろ、ディスカバリー号は2人の人間とHAL9000型コンピューターが運転しているのだ。
土星の衛星で調査を行う乗組員は、ディスカバリー号に積み込む食料や水、その他の消耗品を最小限に留めるためにコールドスリープ状態にある。

本書の物語上、HAL9000型コンピューターは2つの重要な役割を果たすことになる。

1つ目は、HAL9000型コンピューターを発端とするあるトラブルが起こることによって、地球を離れて土星の衛星へ行くまでの間が、物語として退屈なものになることを回避する役割。
2つ目は、人間という有機的な生物以外であっても、思考するという知的な行為が可能であると読者に示すという役割だ。

ノリピーが思うに2つ目の役割がかなり重要で、物語の結末を読者が受け入れやすいようにする効果を狙ったのだと思う。

ノリピーが生きる現実の2023年には、作中のHAL9000型コンピューターと同程度とは言えないものの、チャットを介して受け答えが可能な人工知能が一般向けに提供されているが、本書が出版されたのは1977年のことだ。

そのことを考慮すれば、人間という有機的な生物以外であっても、思考するという知的な行為が可能であると読者に示したHAL9000型コンピューターの役割は、今よりもずっと大きなことだったのだと想像できる。

これらの役割については、小学生の時には全く気付かなかったことであるので、我ながら大人になったものだと感心した。()

読む人を選ぶが、こういう人にオススメ

本書はSF作品であるものの、「遥か彼方の銀河系」が舞台となる某映画のように宇宙で戦争をするわけでもないので、激しさは感じられない。

また、本書には若干のホラー要素があるものの、SOS信号をキャッチして救助に向かったら、寄生するタイプのエイリアンがいましたというような某映画ほどの怖さは感じられない。

何が言いたいかというと、刺激的な作品かと言えばそういうわけではないので、読む人を選ぶ作品であるとノリピーは思ったのだ。
事実、このSF小説『2001年宇宙の旅』に対して、「つまらなかった」という旨を書き綴った同業のブログもあった。

本書の物語は、人類を含めた知的生命体の行き付く先を描いたものであるので、宇宙の可能性を感じて楽しむ作品なのだとノリピーは思う。

地球から星空を見上げながら、今この時、何光年も彼方の星で、知性を持った存在が同じように星空を見上げているのではないだろうか。・・・というような空想をできる方にはオススメしたい。

入手方法

このブログを読んで、SF小説『2001年宇宙の旅』に興味を持たれた方は、ぜひ書店か図書館にて本書を入手して読んでほしい。

▼2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫 SF 243) | アーサー C.クラーク, 伊藤 典夫 |本 | 通販 | Amazon

▼2001年宇宙の旅 (早川書房): 1977|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

2023年8月14日に確認したところ、本書はAmazonにて古本が1円で売られているので、実質的に送料だけで入手可能だ。
また、本書には新しい版があるので、新品を望む方はそちらもチェックしてほしい。

▼2001年宇宙の旅〔決定版〕 | アーサー C クラーク, 伊藤 典夫 | 英米の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon


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お金がないので基本無料ゲームで遊んだり、フリーソフトで頑張っている人物です。/最近、再び読書をするようになりました。SF作品を好んで読みます。/写真を撮影するのが好きです!

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